出産祝い お食い初めに贈る銀のスプーンの選び方
出産祝いに銀のスプーンを贈る事が多くなってきました。銀のスプーンは赤ちゃんにとって縁起物で、赤ちゃんが幸せな人生を送れるようにと願って贈る出産祝いギフトです。
また、100日のお祝いであるお食い初めに銀のスプーンを贈る方も増えてきています。
しかし、銀のスプーンと言ってもいろいろな形や材質、価格など様々なものが出て来ております、せっかく生まれて来た赤ちゃんに「銀のスプーンを贈る」という素敵な事をしようとしているのですから、「しっかりとしたものを選びたい」「喜んでもらいたい」「ずっと記念に残る物にしたい」と思うはずです。
なぜ銀のスプーンが赤ちゃんにとって縁起物と言われているのか、「幸せになれる」という言い伝えはどういうものなのかについては、「赤ちゃんに銀のスプーンを贈る前に知っておきたい3つの意味」で詳しく書いています。
しかし、ただ銀のスプーンといっても、なんでもいいという訳ではありません。そこで赤ちゃんへのお祝いで銀のスプーンを選ぶ際におさえておきたいポイントをいくつか紹介します。
銀の材質について
純度
銀のスプーンといっても、使用されている材料は様々で、銀に少量の銅などをまぜた合金が一般的です。スターリングシルバーと言われるシルバー925(純度92.5%)、次に純度の高いシルバー950(純度95%)、そして最も純度の高いシルバー999(純度99.9%)があります。
これらすべてが「純銀」として扱われる為、どれを贈っても「銀のスプーンを贈った」という事に変わりはありません。
では一番安い925を選べばいいのかというと、それぞれの純度にはちゃんとした理由があり、それをわかった上で銀のスプーンを選んでいただけたらと思います。
(※「NICKEL SILVER 」や「SILVER PLATED」などの刻印があるものは洋白銀食器といわれる、銅をベースとした合金の表面をメッキなどによって銀で覆ったものです。)
銀そのものの材料としては純度の高い物の方が高価で、シルバー999、シルバー950、シルバー925の順に材料の価格は下がっていきます。
しかし、ただ「銀」といってもなぜこのように多くの種類のものが存在するかと言いますと、銀の強度が挙げられます。
銀の強度
銀は金属の中では柔らかいといわれる中のひとつで、少しだけ他の金属を混ぜて強度を増していました。それでシルバー925(純度92.5%)という銀に「スターリングシルバー」という名前が付いていたりするんです。(14世紀頃にイギリスで定められた)
銀の強度を基準に順位を付けた場合、最も強度が高いものからシルバー925、シルバー950、シルバー999と並びます。
強度といってもどの程度がわかりにくいと思いますので、ここで補足しておきます。
まず最もやわらかいシルバー999ですが、「歯で強く噛んだら跡が残る」くらいの柔らかさです。シルバー950や925ではそのような事は起こりません。
シルバー999は純粋に飾り、記念品と考えるのであれば問題ありませんが、実際に食事で使用したりと考えるのであれば、少し気を付けて使って頂く必要があります。
銀の金属アレルギーについて
では「赤ちゃんのお祝いに贈る銀のスプーンはシルバー925が良いのか?」ですが、実は他にも重視したい項目があります。それは金属アレルギーです。
銀のアクセサリーを身につけていて肌荒れを起こしたという話は聞いたことがあると思います。赤ちゃんは生まれたばかりで、どんなアレルギーを持っているかがまだハッキリしないという時期がありますので、気を付けたいポイントですよね。
銀の金属アレルギーというのは、銀そのものではなく、合金に含まれる他の金属によって引き起こされるそうです。従って、アレルギーの心配のないものという順番であれば、シルバー999、シルバー950、シルバー925という順番になります。
表記の真贋
銀のスプーンには必ずその銀の純度を示す刻印が入っています。たとえば「SILVER 925」「STARING(925を示す)」「SILVER 950」「SILVER 999」などです。
これらはそのスプーンに使用されている銀そのものの材料の純度を示すものです。
しかし、銀のインゴッドであったり板状の銀の状態であったりして未加工の場合は、その表記通りの純度に達しているかもしれませんが、スプーンの形にするにはたいへん多くの工程があり、圧力をかけたり、熱がかかったりを繰り返します。それによってスプーンが完成した時には若干純度が落ちている場合があります。
それでもスプーンには上記の通りの刻印が打たれて出荷されていきます。
「ずっとシルバー925だと思っていた物が、調べて貰ったら925ではなかった」なんて事もあるのです。
また悪質な場合は、純度が低い物を使用していながら刻印だけ925や950などのものを入れるという事もあったそうです。
それを回避する為にヨーロッパでは「ホールマーク」と言われるものが誕生しました。貴金属製品に純度を示す刻印を鑑定した上で打つというもので、このホールマークがあるという事は表記通りの純度であると証明されるものでした。
銀のスプーンを選ぶ時は、表記の純度とホールマークの有無を確認して選ぶ事をお勧めします。
ホールマーク、造幣局品位検定刻印
日本でも「造幣局品位検定刻印」としてホールマークが存在します。
銀では品位999、950、925、900、800があります。この「999」という刻印は以前まであった「1000」というものと同じ品位を証明するものだそうです。
日本のホールマークは日本の国旗と菱形のマークの中に純度を示す数値が刻印されます。
赤ちゃんのへのお祝いで贈る場合は、この「造幣局品位検定刻印(ホールマーク)」が打たれている物を選ぶ事をお勧めします。
生まれてきた赤ちゃんとの間柄と贈る時期
赤ちゃんに贈る銀のスプーンは誰が贈るのか?
最も私が「この人に贈って欲しい」と思うのは赤ちゃんのおじいちゃん、おばあちゃんです。お父さん、お母さんも是非贈って欲しい人達です。
更に、この先一生の付き合いになるであろう親しい友人に赤ちゃんが生まれた時も、銀のスプーンはお勧めです。
理由は、銀のスプーンというものはベビーカーやチャイルドシートのように、赤ちゃんとの生活や赤ちゃんの安全を守る道具ではありません。また、洋服やおもちゃのように一定期間だけ役に立てばそれで良いというものでもありません。
これは純粋に銀のスプーンの贈り主が、「この赤ちゃんに幸せになって欲しい」と願う気持ちを形に残して、いつか赤ちゃんが大きくなったときに「自分が生まれた時にこんなに喜んでくれてありがとう」と思ってもらえる、生まれて来た赤ちゃんの為だけに贈るプレゼントなのです。
人は生きていく上で、常に順風満帆という訳にはいかないですよね、上手く行かない事があって落ち込んだり、挫折があった時など、心が折れそうになる事もあるはずです。
そんな時、必ずおじいちゃん、おばあちゃん、またはお父さん、お母さんがそばにいてあげる事ができるなら、それに越したことはありませんが、もし、おじいちゃん、おばあちゃんがもういなくなっていた場合、お父さん、お母さんが遠く離れた所にいる場合、「大丈夫だよ」と、声を掛けてあげたくてもそれができない時でも、銀のスプーンは贈り主の愛情を伝え続ける素敵なプレゼントなんです。
すぐに役に立つようなものでなくても、ずっと引き出しの奥に片付けられてたとしても、どれだけの時間が経ったとしても、それが20年後でも40年後でも、贈り主であるあなたが、赤ちゃんの生まれたときにどれだけ喜んだか、どれだけ愛情を注いだか、どれだけ幸せを願ったかというものが伝わるはずです。
小さい頃に可愛がってもらった時や、叱られた時などを思い出し「おばあちゃんの想いに応えられるようにがんばろう!」と思ってもらえたら、それは本当に幸せな事ですよね。
銀のスプーンは、ただ「赤ちゃんの縁起物」というだけでなく、そんな幸せを感じさせてくれるプレゼントなんです。
出産祝いに贈る場合は、赤ちゃんが誕生してから約30日で贈るのが一般的です。
お食い初めに贈る場合は、誕生から100日までの間に贈ります。
お食い初めのやり方や用意するものについてはこちらの「お食い初めについて」で詳しく書いています。
銀のスプーンの価格
まず、赤ちゃんに銀のスプーンを贈る場合は、セール品、値引き商品はお勧めしません。理由は、出産祝いには内祝いで半返しというのが一般的です。「お返しはいらないから」という理由で品物を贈ったとしても、ほとんどの場合は内祝いを準備するものです。
その時に、「だいたいいくらくらいする物なんだろうか」と同じ商品を検索して探してみるはずです。その時に、赤ちゃんの幸せを願う縁起物であるはずの銀のスプーンが、値引き販売されている物だったら、少し悲しい気持ちになりますね。
なにより、半返しの基準は値引き前の価格にするべきなのか、値引き後の価格にするべきなのか迷ってしまいます。
なによりも、銀のスプーンに限って言うと、値引きして売る事ができるようなものに、本当に良い物があるはずがありません。
銀の純度別価格の相場について
同じ「銀のスプーン」と言っても、材料である銀の純度によって価格の相場は違います。
- シルバー900、それ以下のもの・・・7000円前後
- シルバー925・・・10000円前後
- シルバー950・・・15000円前後
- シルバー999・・・20000円前後
上記の価格を基準に多少の価格の前後があるものは、工程数の違いであったり、仕上がりの美しさの違いであったり、赤ちゃんに贈る銀のスプーンでは重要なポイントであるケースがただの紙でできた箱であったりなどで、違いが出ているようです。この点も選ぶ際には重視したいポイントとなります。
(銀のスプーンはずっと長い時間使用されますし、記念として飾る場合はケースに入れて保管される事が多い為、しっかりしたケースに入ったものを選びましょう)
また、ホールマーク(造幣局品位検定刻印)の有無でも価格は違います。
この刻印を受けるには、作った銀のスプーンをすべて造幣局に持ち込む必要があります。更に検査を受ける際には、その中から数本を切断し、使われている銀の純度を検査して合格したものには造幣局で刻印が打たれます。この造幣局での刻印にも費用がかかる為、ホールマークのある銀のスプーンは、無いものよりも価格は高くなります。
ちなみに、金や銀の買い取りを行う業者さんに聞いたところ、仮に銀のスプーンを買い取ってもらう場合でもホールマークがあるか無いかでは、買い取り価格は販売価格の違い以上に変わってしまうそうです。
(赤ちゃんに贈った銀のスプーンを買い取り業者に出すという事はないと思いますが)
銀のスプーンのデザインや形状について
様々なデザインや形状の銀のスプーンがある中で、どんなものを選ぶべきか?と悩む方も多いと思います。
かわいい赤ちゃんらしい模様の入ったものであったり、持ち手部分が輪っか状になったもの、シンプルな大人が使う物と変わらない形状のものなどがあります。
まず、かわいい模様の入ったものですが、赤ちゃんが小さい頃は良いかもしれませんが、大きくなるにつれて「かわいい模様の入った物」はだんだん持ちたがらなくなります。
純粋に記念品としてずっとどこかに保管しておくだけであればいいかもしれませんが、「大人になってからも使える」と考えるなら、あまり模様の入った物はお勧めしません。
次に持ち手部分が輪っか状になったもの。
これも見た目がかわいく、赤ちゃんへのプレゼントには良いように見えますが、この形状のものを使と、赤ちゃんがスプーンを持つときに手をグーの状態で握るようになり、何かを食べる時は、かなり手首をひねらなければ口元に届きません。
また、親が赤ちゃんに食べさせようとした場合も、この形状は持ちにくく安定しない為、すぐに使わなくなってしまいます。
銀のスプーンは、長い長い時間を赤ちゃんと一緒に過ごすことになる品物です。
できるだけシンプルに、普通の形状のスプーンを選び、何かこだわるとしたら形状や模様ではなく、銀そのものの純度であったり、ホールマークなどを重視して選ぶ事をお勧めします。
銀のスプーンへの名入れについて
出産祝いであったり、お食い初めの祝いに贈る場合は、通常、銀のスプーンに名入れをして贈ります。英字、漢字、ひらがな等お好みで入れられる場合がほとんどです。
フルネームで入れる場合と、名前だけを入れる場合がありますが、6:4くらいの割合でフルネームで名入れをする方が若干多いようです。
また生年月日や身長、体重など赤ちゃんが生まれた時の記録も一緒に刻印しておく事で、より記念に残るものとなるでしょう。
2020年以降のお食い初めについて
赤ちゃんは生まれたばかりの頃はとてもデリケートですし、いろいろ心配な事があるかと思います。
感染対策などをしっかりしたとしても、できるだけ人数を少なくして、父、母、子だけで行われる事が多い様です。
おじいちゃんやおばあちゃんも、もちろん参加したいでしょうし、毎日顔を見たいと思う事でしょう。
しかし、今はグッと我慢して孫のためにお食い初めには参加できなくても、
お食い初めの銀のスプーンを贈ってあげて、行事に彩を添えてあげてはいかがでしょうか。