ひっそりと道端に咲くすみれを見ると、決まって多感な学生時代を思い出します。

二十歳そこそこのまだうら若き頃、毎日鏡とにらめっこしては「あーあ、もっと色が白かったらよかったのに…」とか「もうちょっと目がぱっちりしていたらな…」なんてため息をついていました。
おしゃれに最大の関心を持ち、どうやったら素敵に見えるかいろいろ悩んだものです。
でもそれは私に限ったことではなく、年頃の女の子は多かれ少なかれ誰もが持った感情だったと思います。
不必要な劣等感にさいなまされたり、いたずらに優越感を持ったり、若さゆえにいろいろ揺れ動く感情を持て余すこともありました。
そんな時、とある先生が授業の中で「あなた達はみんな美しいのよ。もっと自信を持ちなさい。」と言いました。
どういった話からそこに話題が飛んだのかは覚えていませんが「でも先生、私、男の人にきれいだと言われたこともないし、もてたこともありません。」と言った女の子がいました。
そしたらその先生はこう言いました。
道端にね、すごく可憐なスミレの花が咲いているとしましょう。
でもね、その花がどんなに美しくても可愛くても誰もそれに目を止めてくれなかったら、その花はその人にとって美しくもなんともないのよ。
その反対にフッと足を止めてその花を見てくれる人がいたら、その花ははじめて美しい可憐な花としてその存在を輝かすことができるのよ。
だからあなたが男の人にもてないとしたら、まだ誰もあなたの美しさに気がついていないだけなのよ。
その女の子も私たちも、この先生の話を聞いてすごく幸せな気持ちになりました。
「そうか、まだ私の美しさに目を止めてくれる人がいないだけなんだ。」と自信ももてるようになりました。
○十年経った今も、スミレの花を見るとあの先生の話を思い出します。
青春のほろ苦い思い出とともに。